不動産の適正価格を見極めるには、売出価格や表面利回りだけでなく、資産価値、収益性、修繕費、そして購入後の出口まで考える必要がある。本記事では、私が実際に入札を検討した競売物件を通して、価格判断の難しさを紹介する。
◆1.はじめに
初めまして。不動産投資家のななころという。久しぶりに楽待でコラムを書くことになった。初めて読んでくださる方も、以前のコラムを覚えていてくださる方も、こうしてページを開いていただき、本当にありがたい。
私は不動産投資家・大家として16年目を迎えた。2012年に脱サラし、現在は子育てや国際交流を楽しみながら、ブログやメルマガを書いたり、大家同士が気軽に情報交換できるコミュニティを運営したりしている。
16年続けてきたと聞くと、迷わず判断できるように思われるかもしれない。しかし実際には、今でも物件を前に悩み、予想を外し、ときには「まだまだ分かっていないな」と痛感することがある。不動産投資は、経験を積んでも簡単に正解へたどり着けないからこそ、面白くもあり、怖くもある世界だ。
このコラムでは、私の考えを一方的に押しつけるのではなく、実際に迷ったことや失敗したことも交えながら、読者のみなさんと一緒に不動産投資を考えていきたい。忙しい毎日の中でも気軽に読めるよう、3分ほどの「メモ録」としてまとめていく。
今回のテーマは「適正価格」である。物件情報を見ながら、「この価格は本当に安いのだろうか」と迷った経験のある方には、きっと共感していただけると思う。
◆2.ピカソの絵
ピカソが描いた「腕時計をした女」という絵がある。
ピカソらしい独特のタッチで描かれた絵で、青色を背景に、ピカソの愛人だったといわれる女性が、黄色いバンドのシンプルな腕時計を身に着けて、玉座のような椅子に座っている。
この「腕時計をした女」は、1932年、ピカソが50歳の時に描いた絵で、彼の作品の中でも完成度の高いものの一つといわれているそうだ。
この絵が昨年末にオークションで売却されて話題を呼んだのだが、あなただったらいくらで入札するだろうか?
※どんな絵か見たい方は「ピカソ 腕時計をした女」で検索してみてほしい。
落札金額は、なんと1億3930万ドル。日本円で210億円である……(汗)。
あなただったら買うだろうか?
絵画の価値がまったく分からない私としては、単なる絵に210億円の価値があることに驚いた。いや〜、適正価格がまったく分からない世界である。
◆3.不動産投資で適正価格を見極める難しさ
一方で、絵画と同じように、不動産も適正価格の判断が難しい。
収益物件にいたっては、資産価値と収益性を考えなければならないため、実需向けの物件よりもさらに適正価格の判断が難しくなる。その道のプロや経験者でさえ、判断を間違えることもしばしばある。
「この物件なら○○○万円で売れるだろうと仕入れたら、まったく売れなくて、泣く泣く損切りしましたよ……(とほほ)」と、知り合いの不動産屋さんからこぼれ話を聞いたこともある。
もしかしたら、不動産は流動性がない分、ピカソの絵よりも適正価格の判断が難しいかもしれない。ピカソの絵なら、世界中のお金持ちが買うからである。
今でこそ、ある程度は売り物件の適正価格が分かるようになってきた私でも、不動産投資のど素人だった頃は、適正価格が分からずに右往左往した。
不動産営業マンから「この物件、絶対お買い得ですよ〜」などと言われて、その気になってしまったこともある。(買っていたら、今頃は脱サラできずに働き続けていたかもしれない……苦笑)
不動産の適正価格の判断は本当に難しい。(ここに不動産投資の妙味があるのだが)
◆4.競売物件の適正価格を検討する
ところで、年末年始、10年以上ぶりに競売物件に挑戦した!
私が最初に購入した物件は競売で落札したのだが、えらく苦労したからである。(夜も眠れなくなる事態に陥ったのだが、それは以前の記事を参照いただきたい。)
なぜ久しぶりに挑戦しようと思ったかというと、単純利回りが50%を超えるお化け物件だったからだ。家賃年収1000万円超を期待できる築35年の地方一棟マンションで、売却基準価格2800万円という金額で出されていた。
しかし、この物件の適正価格がどうにも難しい……。
競売にかかるほどの物件なので、外壁はボロボロ。修繕には2000万円以上かかる。空室だらけなので、入居募集できるようにリフォームすると、やはり2000万円以上はかかる。
その他にもネックがたくさんあった。駐車場がまったく足りない。エレベーターの維持費用がかかり、丸ごと交換も必要。受水槽の交換や、その他の電気系統もすべて新しくする必要がある。
かなり難易度の高い物件だと感じていた。
◆5.競売物件の落札金額はなんと……(汗)
先週末、開札の日を迎えたのだが、とんでもない金額で落札されていた! 驚
読み通り、入札件数は少なく4件のみだったのだが、落札額は売却基準価格のなんと2倍。予想をはるかに超えた「あり得ないだろう」という金額で落札されていたのである。
参った……。
よもや、こんな金額で落札されようとは。この金額であれば一般市場で購入したほうがよいと思ったりもするが、もしかしたら、私には見えていない適正価格が落札者には見えていたのかもしれない。
いやはや、不動産の適正価格というのは、この世界に何年いても難しいものだ。不動産の適正価格を見極める力を、これからも磨いていきたいと思った次第である。
◆6.編集後記
久しぶりにコラムを書いてみたが、いかがだっただろうか?
毎日3分程度で気軽に読めて、ちょっと役立つ不動産投資コラムを書いていこうと思う。
感想コメント、応援コメントをお待ちしているm(_ _)m
また、もし取り上げてほしいテーマなどがあれば、気軽にコメントいただきたい。
記事内容が少しでもお役に立てたらうれしく思う。最後に『いいね』ボタンをタップしていただきたい!
◆7.不動産の適正価格に関するよくある質問
Q1.不動産の適正価格は、どのように判断すればよいのか?
不動産の適正価格に唯一の正解はない。近隣の売買事例や土地・建物の資産価値に加え、実際の家賃収入、空室、運営費、購入後の修繕費を確認し、自分が想定する保有期間や売却方法から逆算して判断する必要がある。
Q2.表面利回りが高い物件は、割安と考えてよいのか?
表面利回りが高くても、必ずしも割安とは限らない。今回の競売物件も単純利回りは50%を超えるように見えたが、外壁修繕や空室の原状回復、エレベーター、受水槽などに多額の費用が必要だった。購入価格だけでなく、再生と運営に必要な総額で判断することが大切である。
Q3.競売の売却基準価格は、市場価格より安いのか?
売却基準価格が低く見えても、その金額で落札できるとは限らない。本記事の物件は入札が4件だけだったにもかかわらず、売却基準価格の約2倍で落札された。競売でも、物件の状態と落札後の費用を調べ、自分が出せる上限価格を決めておく必要がある。
不動産の適正価格を図解したA4レポート
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元の楽待コラム:「ピカソの絵、いくらだったら買う?」
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