物件を少しでも安く買いたいと考えたとき、一般市場や競売に加えて知っておきたい選択肢が「公売」である。公売には、思いがけない価格で物件を取得できる可能性がある一方、調査資料や引渡しに特有のリスクもある。本記事では、競売との違い、公売物件の探し方、入札前に知っておきたい注意点を紹介する。
◆1.不動産を安く手に入れる方法「公売」
不動産を少しでも安く手に入れたいと思い、競売物件を調べたことのある方は少なくないだろう。しかし、競売以外にも「公売」という選択肢がある。名前は聞いたことがあっても、競売との違いまでは分からないという方も多いかもしれない。
「競売」は、銀行等への返済が滞った場合に、借金の担保として土地と建物を差し押さえられ、裁判所を通じて売却される制度である。
一方、「公売」は、税金等の支払いが滞った場合に財産が差し押さえられ、売却される制度である。せっかく購入した不動産も、固定資産税の支払いを滞納すれば、公売にかけられる可能性がある。
最近は競売の人気物件に入札者が殺到し、なかなか安く購入できなくなっている。前回の記事で触れたように、一般市場で買ったほうが安いケースすらある。
一方で、公売は競売ほど認知されておらず、特有のデメリットから避けられる傾向もあるため、競売より少ない入札で落札できることがある。「ななころさん、こんな金額で落ちちゃいましたよ!」と、想像以上に安く落札して驚いていた方もいた。
公売では土地や戸建て、区分マンションが多く、一棟アパートや一棟マンションが出てくることは滅多にない。それでも、ごくまれに驚くような物件が出品されることがある。
だから私は、競売と一緒に公売も定期的にチェックしている。「お宝物件がないか」と、いつもワクワクしながら確認しているのである。(もう病気である!笑)
◆2.公売のチェック方法とデメリット
今では、公売物件のチェックは以前より簡単になっている。
「KSI官公庁オークション」という、公的機関が出品するインターネット公売のサイトから、「不動産」という項目を選べば確認できる。
不動産だけでなく、高級車や高級腕時計など、財産とみなされる動産も数多く出品されているため、眺めているだけでも楽しい。リサイクルショップのようである。
ただし、公売には競売とは異なるデメリットがある。資料が十分にそろっていないこともあるが、決定的なのは、原則として執行機関が公売財産の引渡し義務を負わないことである。
競売の場合は、一定の要件のもとで裁判所の引渡命令を利用できる。ところが、公売では同じ仕組みを利用できない。そのため、元所有者や占有者が引渡しに応じない場合、買受人自身が交渉し、状況によっては法的手続きが必要になることもある。
こうした調査、引渡し、明渡しの手間やリスクがあるからこそ、公売では競売より安く落札できる可能性があるのである。
◆3.キャバ嬢に6億円を貢ぎ続けた男の末路
ところで話は変わるが、少し前に、大手メーカーの元経理部係長が会社の預金6億円を横領した容疑で逮捕された事件があった。
この元経理部係長の男性は、警察の調べに対し「ほとんどは好きなキャバクラ嬢の求めに応じて送金した」と供述したという。
ところが、この男性は何年もせっせと6億円を貢いだにもかかわらず、意中のキャバ嬢を手に入れるどころか、最後は会うこともかなわず、メールのやり取りだけだったそうだ……。
会社のお金を横領してまで貢ぎ続けて逮捕されたというのだから、何ともやり切れない話である。しかし、「いくら支払っても完全に自分のものになったとは言い切れない」という感覚は、不動産を所有する私たちにも少し通じるところがあるのかもしれない。
なぜなら、日本で不動産を所有すると、固定資産税を支払い続けなければならないからだ。支払いが滞れば、所有する不動産が公売にかけられることもある。
やっと銀行への返済が終わったと思っても、土地だけでなく、減価償却の終わった建物についても固定資産税を支払い続けなければならないというのだから……涙。
◆4.それでも……
それでも、私は良い不動産があれば買う。
競売も公売も定期的にチェックし、お宝物件を探し続ける。
「ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水くくるとは」
百人一首にも選ばれている在原業平の有名なこの歌には、「たとえ神様が別れなさいと言おうと聞き入れません。私の恋は何年経ったとしても色褪せず、あなたを思い続けていきます」という思いが込められているという。
たとえ、本当の意味で所有権を手に入れることがはかない夢だと知っていても、私はお国に貢ぎ続ける所存である。夫婦円満、家庭円満のために、奥様へ毎月貢ぎ続けるように……。
◆5.編集後記
この記事を書いていて思ったのは、これからの時代は「所有」という概念から解き放たれたほうが、幸せな人生を送れるのかもしれないということである。
誕生日やクリスマスに「何かプレゼントでほしいものある?」と聞いても、「別にない……」と言う息子たち。
パパがせっせと恋焦がれて集めた不動産たちも、いずれ息子たちに「そんなのいらない」と言われてしまうのかもしれない。
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◆6.不動産の公売に関するよくある質問
Q1.不動産の公売と競売は何が違うのか?
競売は、主にローン等の返済が滞った担保不動産を裁判所が売却する手続きである。公売は、税金等の滞納によって差し押さえられた財産を、国や地方公共団体などが売却する手続きである。実施機関だけでなく、資料や引渡しの仕組みにも違いがある。
Q2.公売物件は必ず安く買えるのか?
必ず安く買えるわけではない。入札が集まれば価格は上がり、物件の状態や権利関係によっては、落札後に修繕費や明渡し費用が必要になる。落札価格だけでなく、取得後に必要な総額から入札上限を決める必要がある。
Q3.公売不動産の引渡しは誰が行うのか?
公売不動産について、国などの執行機関は原則として現実の引渡し義務を負わない。占有者がいる場合の交渉や明渡しは、買受人が自ら行う必要がある。現地の使用状況や権利関係を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが大切である。
公売の仕組みと注意点を図解したA4レポート
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