不動産投資を始めたいと思っても、最初に立ちはだかるのが自己資金の壁である。
ようやく1棟目を買えても、2棟目、3棟目と進むうちに現金が減り、次の一歩が遠く感じられることもある。私自身、決して潤沢な資金からスタートしたわけではなく、1stステージは常に「自己資金不足との戦い」であった。
今回は、貯金300万円から始めた私が、家族融資、節制、不用品転売、物件のキャッシュフローを組み合わせ、1棟目から3棟目へ進んだ過程を振り返る。
◆1.最初は自己資金不足との戦い
私のような「持たざる不動産投資家」にとって、1stステージで最も頭を悩ませるものが自己資金不足である。
購入する物件によって必要額は変わるが、1棟物件を購入していく場合、当時の私が最低ラインと考えていた自己資金の目安は次のとおりである。
| 購入価格 | 必要な自己資金の目安 |
|---|---|
| 3,000万円以下 | 500万円 |
| 3,000万〜5,000万円 | 800万円 |
| 5,000万〜1億円 | 1,000万円 |
| 1億〜2億円 | 2,000万円 |
リスク許容度は人によって異なり、さらに綱渡りの状態で勝負する人もいるだろう。ただし、私の感覚では、この程度の現金は最低限必要であった。
原文で紹介した当時の「家計の金融行動に関する世論調査」では、二人以上世帯の貯蓄額中央値は20代201万円、30代400万円、40代531万円、50代800万円であった。多くの会社員にとって、最初の物件を買う自己資金をどう作るかが大きな課題になる。

◆2.2棟目・3棟目で資金が枯渇する
1棟目の購入では自己資金をなんとか捻出できたとしても、2棟目、3棟目と買い進めるうちに現金は減っていく。
銀行から自己資金1割、2割を求められることは珍しくない。中古物件では購入後1年間に何かとお金がかかり、突発的な事故や、退去が続くこともある。
物件を買うほど「お金がない」という状態になり、途中で物件を売却して自己資金を回復させる投資家もいる。
しかし、希望する金額ですぐに売れるとは限らない。仲介手数料や繰上返済手数料、売却の手間まで考えると、結果は良くてトントンだったという話も耳にする。良い物件ほど手放すのが惜しくなり、それ以上の物件を見つけることも難しい。
◆3.「自己資金0」の誘惑
1stステージで自己資金不足と戦っていると、必ずと言ってよいほど心が揺れる誘惑がある。「自己資金0でもできる」という不動産投資法への誘いである。
私が1stステージにいた頃は、いわゆる光速系の投資法が流行していた。耐用年数の長いRC物件に対して、自己資金を使わずフルローンやオーバーローンで融資を受け、短期間に買い進める方法である。現在も形を変え、新築アパートなどさまざまな商品で見かける。
私も正直なところ、何度も心を揺さぶられた。しかし、この方法を選ばなかった。相応の金融資産や高い年収がなければ難しく、私のような持たざる会社員には合わないと分かったからである。
自己資金不足を無理に解消しようとして、違法な行為に手を染めることは論外である。使える融資と、無理な借入を混同してはいけない。
◆4.私も自己資金作りに苦労した
私が不動産投資を始めたのは32歳、結婚したばかりの頃である。新婚生活で何かと入り用であり、貯金は300万円しかなかった。
1棟目を購入するとき、仕事を終えた後に父をお気に入りの焼き鳥屋へ呼び出した。そして人生で初めて父に頭を下げ、家族融資をお願いした。あのときの何とも言えない感情は、今も忘れられない。
2棟目に向けては、徹底した節制生活と不用品の転売で自己資金を作った。1棟目が高利回りで、キャッシュフローの積み上がりが速かったことにも助けられた。
3棟目の購入時には、給与に1棟目と2棟目のキャッシュフローが加わり、自己資金が貯まる速度は上がっていた。それでも2011年後半は金融機関の融資姿勢が厳しく、苦労した。
そこで当時の私は、審査が通りやすく自己資金を求められない住宅ローンを利用して、この問題を乗り越えた。具体的な経緯は原文でも「いずれまた」としており、ここで一般的な再現方法として勧めるものではない。

◆5.近道ではなく、回復する仕組みを作る
振り返れば、足を使い、頭を使い、できることに挑戦しながら自己資金不足と戦った1stステージであった。
これから不動産投資を始める人、2棟目、3棟目を目指す人も、同じ壁にぶつかるかもしれない。そのときに大切なのは、誘惑に負けて安易な道へ進むことではない。
勉強と情報収集を続け、節制、副収入、物件のキャッシュフローなどを組み合わせ、自己資金を回復できる仕組みを作ることである。家族から資金を借りる場合も、条件や返済計画を明確にし、税務・法務上の扱いを専門家へ確認したい。

音声で聴く|毎日3分!不動産投資メモ録 #7
今回の内容はStandFMでも聴くことができる。
◆6.編集後記
自己資金不足を解消する方法は、ほかにも数多くある。誰でも取り組みやすい方法から難易度の高い方法まであるが、当然ながら、違法な方法ではなく、すべて正攻法で考えるべきである。
原文では、読者からの反応が多ければ、私が実践してきた自己資金不足の解消法を連載で取り上げたいと書いた。実際の方法は、人によって使えるものもリスクも異なる。だからこそ、自分の現在地に合う方法を選ぶ必要がある。
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