【第8話】「こんな田舎で不動産投資、大丈夫なの?」初めての現地調査

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※この記事は実際の不動産体験をもとにしていますが、多少アレンジした「フィクション」として楽しんで頂けると幸いです。
目次

◆田舎にアパート買って大丈夫なの?

 仕事で忙しい1週間を過ごした週末の土曜日。今日はいよいよ現地調査の日だ。周辺地図をプリントアウトし、カメラを持って、妻と一緒に車で現地に向かった。

 初めての現地調査で、ワクワク半分、不安半分。まるで初めての外国に行く時のような不安とワクワクが入り混じった旅行気分だった。助手席に座る妻も心なしか口数が少なく、あっという間に過ぎ去る景色をぼんやりと外を眺めている。ふとっ、妻がつぶやいた。。。

「こんな遠い田舎にアパート買おうとして、本当に大丈夫なの?」

 妻は不動産投資に対して反対こそしなかったが懐疑的だった。妻のつぶやきにわたしははっきりと返事をすることができずに、「大丈夫、大丈夫だと思う」と自分に言い聞かせるようにただうなずいた。

 家から茨城県日立市までは高速道路を使って約2時間半。あっという間の2時間半だった。常磐道の日立中央ICの出口を降りトンネルを抜けると、目の前には海が広がった。後方の山に一本そびえ立つ煙突が、なんだか不気味に感じた。

◆閑散とした駅前

 高速を降りて10分ほど車で走ると、物件の最寄駅であるJR常磐線日立駅に到着した。

 事前に調べていた情報によると、日立市は日立製作所の企業城下町で、日立製作所の発展とともに栄えた街。ピーク時の人口は22万人ほどだったが、現在は人口減少が止まらず、多数の市町村を吸収しても20万人を割ってしまっている。

 茨城県では、水戸市、つくば市に続く三番目の市に降格してしまっている。市の人口のおよそ40%が、日立製作所かグループ会社で働く社員かその家族で、日立市民は都市名を『日立(ひたち)』と呼び、日立製作所を『日製(にっせい)』と呼んで区別しているそうだ。

 街の雰囲気や駅からの道のり、周辺アパートを調査するために、車は駅前のパーキングに止めて駅から歩くことにした。日曜日ということもあるのだろうか、駅に続く大通りにも関わらず、人通りは少なく、お店のシャッターも閉まっているところが多かった。

 車中でつぶやいた妻一言が響く。

「こんな閑散とした駅の街で不動産投資なんて大丈夫だろうか・・・」

◆初めての現地調査は分からないことだらけ

 駅から約25分。坂道を登ったり下ったり、日立製作所の大きな工場を横目に見ながら歩いていくと、住宅街に辿り着いた。事前の情報によると以前は日立製作所の寮もあったらしい。

 駅からの途中、お店やレストランはまったく無い。ほとんど人に会うこともなかった。それでも住宅街には家やアパートが立ち並んでおり小学校もある。たしかに生活している人の息吹を感じることができた。

 思っていたほど田舎ではない。アパートは新しい建物はなくどれも古い建物ばかりだったが、カーテンのかかっている窓を見ると、どのアパートもそれなりに入居者はいるようだった。今後数年だったら比較的高い入居率は維持できそうだ。高い利回りで物件を買えれば、日立市製作所が急な撤退をしない限り、元は取れるのではないか。淡い期待を持った。

 しかし、今回が初めての現地調査。どこをどう見たら良いのか分からない。何をどう調べたら、入居需要のあるエリアなのか、購入後に安定して満室を維持できるか、まったく分からない。確信が持てない。妻もわたしもたすら歩き続けた。

 そして、ついに目的の建物のある通りに出た。車が2台すれ違えるほどの大きさの道路を挟んで両側には、大小さまざまなアパートや戸建てが立ち並んでいた。あとはここをまっすぐ3分ほど進めば、目的の建物に辿り着く。地図を確認しながら、道をまっすぐ進んでいくと・・・

(第9話につづく)


◆編集後記

物件は、土地勘のあるエリアで買った方がいいでしょうか?

 これまで相談を受けてきた中で、多い質問の1つです。どのエリアに物件を買うかで、不動産投資の成功の可否が決まるといっても過言ではありません。そのため、とても良い質問だと思います。やはり最初は土地勘のあるエリアで買った方がいいのでしょうか?

 たしかに土地勘のあるエリアを選ぶと、そのエリアが環境の良い場所か悪い場所か、便利な場所か不便な場所か、人気のある場所か不人気の場所か、イメージか何となくあるので安心できます。融資を受ける上でも、縁かゆかりがあるエリアの方が、融資を受ける上でも有利となる場合があります。

 しかし、実は、土地勘のあるエリアで物件を探すことが、逆にリスクになっていることもあります。

 なぜなら、土地勘のあるエリアだと「なんとなく安心」「なんとなく入居需要がありそう」という、なんとなくの感覚に頼ってしまうことが多いからです。土地勘のあるエリアの地域情報を、詳細に把握している人は案外少ないものです。

 たとえば、そのエリアの家賃相場をご存知でしょうか?築年数や間取り別の入居率を把握していますか?周辺のライバル物件の入居状況はどうでしょうか?そのエリアの今後の都市計画を役所から取り寄せたことはありますか?

 見慣れたエリアだったとしても、意外と知らないことだらけだったりしますよね。なんとなく知っているからというだけで、詳しく調べてエリアの特性を把握している人はほとんどいません。

土地勘のあるエリアで物件を探すことが正しいとは限りません。逆にリスクになることも・・・

 一方、土地勘のないエリアだと、「入居需要があるのだろうか?」と、購入時に調査やヒアリングすると思います。調査しないと怖くて買えませんからね。もし調査せずに買うとするならば、もうそれは投資ではなくギャンブルになってしまいます。

 また、もし土地勘のあるエリアに絞って物件を探そうとして、なかなか良い物件が見つからないこともあります。不動産投資に不向きなエリアで、選択肢が減ってしまうかもしれません。土地勘のあるエリアに絞って買えない状態が続いていたらもったいないですよね。

 ですから、土地勘のあるエリアかどうかは、エリア選定における最重要ポイントではないというのがわたしの考えです。

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この記事を書いた人

30歳ど素人サラリーマンが不動産投資に挑戦して大失敗|地元では有名な○翼のボスの所有する手を出してはいけない物件だった。。|現在4棟40戸+5店舗所有|年間家賃収入2500万円|2012年脱サラ|投資家の集まるコミュニティを10年以上運営|不動産投資を手段の1つとして人生を自由に描くをモットーに活動中!|

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