◆売却までの保有期間中にすべきこと
前回のステップでは、もし所有物件がサブリース付きの場合のサブリース解除についてお伝えしました。サブリースが付いていると高値売却が望めないだけでなく、非常に売却しずらいからです。
そして、マンション投資失敗から復活するためには、最終的なゴールである高値売却を目指しつつ、毎月の「収支」を見直し改善を行っていくことが重要になります。
本当はすぐに売却して手放せればいいのですが、そんなに簡単ではありません。売却にはどうしても時間がかかります。残債が多く持ち出しが多すぎて売却できないこともあります。売り出してから1年2年、場合によっては10年以上かかってしまうこともあります。そのため、売却には時間がかかるとあらかじめ想定しておくことが重要です。
しかし、一般的なマンション投資失敗例では、収支がマイナス(赤字)になっていることがほとんどです。典型的なワンルーム業者の謳い文句は「毎月数万円払うだけで、数千万円の高級マンションが手に入ります!」ですから。
そのため、売却まで時間がかかればかかるほど赤字額は累積していきます。しかもやっかいなことに、時間が経てば経つほど赤字額は大きくなる一方です。築年数が経てば家賃も減り、空室期間が長くなり、修繕費は高くなるからです。金利上昇リスクもあります。
ですから、売却できるまでの保有期間中の収支を改善し、少しでも毎月の収支をプラス(黒字)に持っていくことが重要になってくるのです。それではどうやって収支改善していけばいいでしょうか?
◆投資用マンションの収支例
マンション投資の場合、収支改善はいたってシンプルです。「家賃を上げる」or「経費を減らす」しかありません。それでは、どこをどう改善していけばいいでしょうか?
たとえば、利回り4%、2500万円の投資用マンションを頭金ゼロで購入した場合の毎月の収支例を考えてみましょう。
毎月の収支合計は18,500円のマイナス(赤字)となり、売却するまでの期間が長くなればなるほど、この赤字が累積していくこととなります。1年間で43.8万円、10年間で440万円、30年間ではなんとっ、1320万円もの累積赤字となります…。
しかも、ここには原状回復費や入居斡旋費用(広告費など)等の経費は含んでいません。また、家賃が下がったり、予想外に修繕費が大きくなることもあります。さらに、サブリースの場合は、家賃から10%〜20%のサブリース手数料が引かれることになりますから、保有し続ければし続けるほど累積赤字はさらに大きくなります。
あなたの保有するマンションの収支はどうでしょうか?どこを改善できそうでしょうか?
◆支出を減らすためには?
まず、収入を上げる(=家賃アップ)については、「第4話」でお伝えした通りです。家賃アップについて具体的な方法を含めてお伝えしています。
一方で、支出を下げるためには、どこを改善すべきでしょうか?
一番に改善したい項目は、そうです!なんとしても毎月家賃から引かれているサブリース家賃とサブリース料を削減したいですよね!
サブリースを解除することによって、家賃は丸々手元に入ります。さらに、サブリース料9,000円も引かれなくなります。 毎月10,000円+9,000円の支出が削減できれば、毎月の赤字は17,500円の改善となります。年間にしたら21万円もの改善です。
さらには、サブリース解除することによって、物件によっては礼金や更新料といった臨時収入を増やすことができるようにもなるかもしれません。工夫次第では家賃をさらにあげていくことも可能になります。
これは大きい!(サブリース解除については前回お伝えしました)
◆管理をどうしたら良いのか?
「サブリースを解除したら、管理はどうしたら良いですか?」という質問がありそうですが、理想は「自主管理」です。
サブリースではなく、どこかの不動産会社に管理委託している場合もあるかもしれませんが、管理委託の場合でも管理料(3%〜5%程度)の費用がかかりますので、自主管理に切り替えれば0円です。
一方で、「サラリーマンだし、自主管理なんてできないよ」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。やったことも無いことに誰しも不安や抵抗を感じるのは仕方ありません。
しかし、みなさんが普段こなしている難しい仕事に比べたらはるかに単純です。自主管理と言ってもオーナー自らやることって実はあまり無いのです。下記に自主管理する場合の対応例を記します。どうでしょう、オーナーがやることって限られていますよね!?
【自主管理する場合の対応例】
- 入居募集 → 客付け不動産会社(※オーナー自ら募集もできる)
- 内見対応 → 客付け不動産会社
- 契約作業 → 客付け不動産会社
- 入居者対応 → 内容によって各業者に依頼
- 退去立会い → リフォーム会社 or 不動産会社
- 原状回復 → リフォーム会社
ですから、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、一度やり方を分かってしまえば、サラリーマンであってもマンションの1戸や2戸程度の自主管理はできます。
入居募集においても、オーナー自らSUUMO等のポータルサイトに物件を掲載して入居者募集できる「エコーズ(株式会社SIRE)」のようなサービスもありますし、どうしても自主管理に抵抗があるようであれば、株式会社CASAの「家主ダイレクト」のような自主管理を無料でサポートするようなサービスもあります。
ですから、自主管理に挑戦することが、大きな収支改善の第一歩となるのです。「自主管理」が次のステップなのです。
◆まとめ
マンション投資失敗からの復活の最終ゴールは高値売却ではありますが、すぐに売却できるかどうかは分かりません。売却には時間がかかることをあらかじめ想定して、売却できるまで保有し続けることを考えなければなりません。売却できるまで収支を改善していくことが重要なのです。
そして、収支改善はいたってシンプル、少しでも家賃を上げて、少しでも経費を減らすことです。家賃アップをしていきながら、支出削減の第一歩としてサブリース料 or 管理委託料を自主管理に切り替えることです。
僕も初めて1棟マンションを購入した時はサラリーマンでしたが、最初の2年間は自主管理をしていました。賃貸管理経験ゼロの僕でも、入居募集もできましたし、各種手続きもできましたし、トラブル対応をすることもできました。
最初は難しいと感じることもあるかもしれません。それでも、自主管理に挑戦することで支出を削減できるだけでなく、大家レベルが飛躍的にアップしますよ。
次回のステップでは、もう1つの大きな支出「毎月返済額」の改善についてお伝えしていきます。
(第7話につづく)